アップルのiPad意匠権(ドイツ デュッセルドルフ)
OHIM181607-0001(外枠に銀色のベゼルが無く、全体が一体としてスマートなデザイン)
2011年 8月6日 アップルはOHIM意匠権に基づきサムスンGalaxy Tab 10.1(ベゼル無し)の仮差し止め申請
8月9日 地裁(Johanna Brueckner- Hoffmann判事)は、Galaxy Tab 10.1の明確な類似性を認めEU域(オランダ除く)での販売仮差し止め認容
8月16日 地裁はドイツ国内へ縮小する最終的な仮処分決定(ドイツ国内でのGalaxy Tab 10.1販売禁止が決定された)
9月2日-7日 ベルリン家電見本市(IFA)
9月2日 アップルは、Galaxy Tab 7.7のドイツ国内差し止め申請
9月4日 地裁はアップルの申請の認容決定
9月9日 地裁は10.1仮差し止めに対するサムスンの異議申請棄却、サムスンは控訴
11月17日 サムスンはGalaxy Tab 10.1N発表(ベゼルを付けたデザインへ変更)
11月28日 アップルはGalaxy Tab 10.1N仮差し止めを地裁へ申請
12月22日 高裁は、Galaxy Tab 10.1に関するサムスンの控訴を棄却(Tab 10.1の差し止め確定)
2012年 2月10日 地裁は、Galaxy Tab 10.1Nに対する仮差し止め申請を棄却(Tab 10.1Nは非侵害)
解説(ドイツにおけるOHIM意匠権):
ドイツでは知的財産権の保護が厚く、侵害品の仮差し止めはかなり迅速に認められるようです。判断が比較的容易な意匠権は、競合他社の侵害被疑品を排除するために特に有効なツールといえます。しかし、意匠権の権利範囲は、非常に斬新なデザインでない限りは一般に狭く、改良変更されて権利行使を免れることも容易といえます。
アップルは、ベルリン家電見本市(IFA) の一月前に、Galaxy Tab 10.1の仮差し止めを申請し、すぐに認められました。その結果、サムスンはバイヤーが多く集まる見本市で新製品の展示をすることができませんでした。アップルは更に、Galaxy Tab 7.7の仮差し止めを見本市初日に申請し、翌々日に処分が出されたため、サムスンは見本市期間中に初公開製品Galaxy Tab 7.7を展示から撤収しなくてはならない、という事態に陥りました。
しかし、サムスンは2か月後にはベゼルを付けた改良型Galaxy Tab 10.1Nを発表し、この改良製品への仮差し止めは認められませんでした。
なお、条文の解釈によってはドイツ地裁でEU域での販売仮差し止めを認容できるようですが、諸般の事情から数日後にドイツ域内での仮差し止めへ決定を修正しなおしたと思われます。